
はじめに
近年、自然災害だけでなくサイバー攻撃による事業中断リスクが急増しています。日本においても、ランサムウェア被害やサプライチェーン攻撃などが相次ぎ、企業規模を問わず対策が急務となっています。事業継続計画(BCP)にサイバーセキュリティ対策を組み込むことは、もはや選択肢ではなく必須事項です。
当社Japan Office Agentでは、多くのお客様の事業継続をITの側面からサポートしてきました。本記事では、BCPにおけるサイバーセキュリティ対策の重要性と、すぐに実践できる対策についてご紹介します。
BCPとサイバーセキュリティの関係性
事業継続計画(BCP)とは、災害や事故などの緊急事態が発生した際に、事業の中断を最小限に抑え、早期に復旧するための計画です。従来のBCPは主に自然災害や物理的な事故を想定していましたが、現代のビジネス環境では、サイバー攻撃による被害も重大なリスク要因となっています。
サイバー攻撃がBCPに及ぼす影響
- データの消失・漏洩: 重要なビジネスデータが失われたり、外部に流出したりすることで、業務停止や信用失墜につながります。
- システム停止: ランサムウェアなどの攻撃により、基幹システムが停止し、業務が麻痺する可能性があります。
- 金銭的損失: 身代金の支払いや復旧コスト、さらには顧客への賠償金など、甚大な経済的損失を被る可能性があります。
- 法的責任と信用損失: 個人情報保護法などの法令違反や、取引先・顧客からの信頼喪失は、長期的な事業継続に大きな影響を与えます。
中小企業が今すぐ実践すべきサイバーセキュリティ対策
1. 多層防御の構築
単一の防御策に頼るのではなく、複数の防御層を設けることが重要です。
- 最新のセキュリティ機器の導入: 次世代ファイアウォールやUTM(統合脅威管理)機器を導入し、社内ネットワークを保護しましょう。
- エンドポイントセキュリティの強化: 各デバイスにセキュリティソフトを導入し、常に最新の状態に保ちましょう。
- ネットワークセグメンテーション: 社内ネットワークを適切に分割し、万が一の侵入時に被害を局所化します。
2. バックアップ体制の確立
データ喪失は事業継続に致命的なダメージを与えます。3-2-1バックアップルールを実践しましょう。
- 3つのコピー: 重要データは最低3つのコピーを保持
- 2種類の媒体: クラウドとローカルストレージなど、異なる種類の媒体に保存
- 1つはオフサイト: 1つは物理的に離れた場所に保管
3. 従業員教育とセキュリティ意識の向上
技術的対策だけでなく、人的要素も重要です。
- 定期的なセキュリティ研修: フィッシングメールの見分け方など、基本的な対策を全社員に教育
- インシデント対応訓練: サイバー攻撃を受けた際の対応手順を訓練しておく
- セキュリティポリシーの策定と周知: 明確なルールを設け、全従業員に徹底する
4. クラウドサービスの適切な利用
クラウドサービスは災害時のBCPに有効ですが、セキュリティ設定が不適切だと逆にリスクとなります。
- 強固な認証設定: 多要素認証の導入と適切なアクセス権限の設定
- クラウドサービスのセキュリティ機能の活用: 提供されているセキュリティ機能を最大限に活用する
- データ暗号化: 保存データと通信データの両方を暗号化する
5. 緊急時対応計画の策定
インシデント発生時に混乱なく対応するための計画を事前に準備しておきましょう。
- 対応チームの編成: 責任者と役割の明確化
- 連絡網の整備: 社内外の関係者への連絡手段の確保
- 復旧手順の文書化: システム復旧の優先順位と手順の明確化
- 外部専門家との連携: セキュリティ専門会社との連携体制の確立
具体的な導入事例
事例1: 製造業A社の場合
従来型のファイアウォールからUTM機器への更新と、クラウドバックアップの導入により、ランサムウェア攻撃から重要な設計データを守ることができました。
事例2: 小売業B社の場合
POSシステムとバックオフィスネットワークのセグメント化により、カード情報の保護と業務継続を両立させることに成功しました。
まとめ
サイバー攻撃は「いつか起こるかもしれない」ではなく「いつか必ず起こる」リスクとして認識すべきです。特に新設法人や事業拡大期の企業は、成長とともにセキュリティ対策も強化していく必要があります。
Japan Office Agentでは、お客様のビジネスステージに合わせた最適なセキュリティソリューションをご提案いたします。複合機やビジネスフォンなどのOA機器の導入だけでなく、サイバーセキュリティ対策を含めた包括的なBCP対策のご相談も承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。